読売新聞オンラインにて、2023年6月19日に以下の報道がありました。
記事によれば、スキルを新たに身につけて転職する活動に対して、経済産業省が支援するということです。
この経済産業省が予定している事業の詳細は近く発表されるとのことですが、記事を見る限り個人への支援というより、転職を希望する個人を応援する事業者の支援のようです。
- 民間会社が運営する、スキルを身につけて転職する講座に対する支援
- キャリアコンサルタント資格を持つ専門家に相談できる講座になる模様
- 第1弾の助成では6割がプログラミングやビジネススキルの講座を対象
- 講座にはウェブデザインや動画編集などの分野も対象に入っている
この報道について、プログラミングスクール紹介メディアを運営する元エンジニアが知見をもとに解説します。
報道を見たときはかなり驚きましたが、経済産業省主導であることと事業の担い手として公募で選ばれた企業にパーソルテンプスタッフやアデコといった名前が挙げられていることから、事業者への支援という意味合いだと思われます。
私のように、プログラミングスクールや教育訓練給付金を扱っている者としては、個人に給付される新しい制度ができるのか?と期待しましたが、一瞬で「あれ?」となりました・・・。
個人にもメリットはある
転職を目的としてスキルを身につけるには、プログラミングスクールやウェブデザインスクール、医療介護講座、専門学校など勉強に時間とお金を投資することになります。どうしてもお金をかけたくない場合でも、独学でスキルを身につけることになるでしょう。
ただ経済産業省の事業はおそらく、企業に助成金を出すものであって、個人がお金を直接受け取れるものではありません。
しかし個人にも何らかのメリットはあるはずです。
- 講座が増えて選択肢が広がる
- 助成金により料金が安めに設定されるため料金相場が安くなる
- 助成対象にないスクールとの競争が生まれて質の良いスクールが伸びる・残る
今回の経済産業省主導の事業がスタートすれば、スクールや講座の選択肢が増えることに期待できます。
また1人当たり平均24万円の助成があることから、受講料も比較的安く設定されるのではないでしょうか。
質の悪いプログラミングスクールや講座は駆逐される
助成金で安くなれば・・・質の良いスクールが増えれば・・・という前提はあるものの、近く発表されるという経済産業省の事業は料金と質が釣り合わないスクールの淘汰に繋がる可能性はあります。
事業の公募に選ばれた企業が、助成金をもらいながらいままでよりも安くより良い講座やキャリアコンサルを実施できれば、質の悪いスクールや講座は駆逐されるでしょう。
そして残るのは、料金と質に見合ったスクール、適正な料金のスクールとなれば個人や社会にとってメリットが生まれる思います。
転職を目指す個人が注意すべきこと・知っておくべきこと
経済産業省の事業が指導すれば、プログラミングスクールやwebデザインスクール、ビジネススキルスクールなどの業界に一定のインパクトはあるでしょう。
ただ個人としては気をつけるべきこと知っておくべきことがあります。
- 個人向けには厚生労働省の教育訓練給付金がすでにある
- プログラミングスキルを使う転職であればエンジニア業界に精通しているキャリアコンサルタントを選びたい
- 経済産業省の事業を担う企業がエンジニア転職でどんな実績を残しているのか必ず確認すべき
以下、解説します。
個人向けの補助~厚生労働省の教育訓練給付金
転職やスキルアップを希望する個人は厚生労働省の教育訓練給付金を利用すれば、受講料の10~70%を給付してもらえます。
有名で実績のあるプログラミングスクールの多くは、この教育訓練給付金を利用できることは知っておくべきでしょう。
経済産業省主導の事業ではキャリアコンサルタント資格を持つ専門家とあるが・・・
キャリアコンサルタントの資格を持つ専門家に相談できることは、講座を受講しようとする個人にも心強いです。
ただ今回の事業で対象となる講座は、現時点にはプログラミングが多く含まれていることから、キャリアコンサルタントというだけで安心するのは早計です。
プログラミング業界に転職して新しいキャリアを歩み出すのであれば、必ず知っておくべきことがあります。
- エンジニア業界に精通しているキャリアコンサルタントに相談する
- なりたいプログラマー像、エンジニア像に近づける転職先を選ぶ
- プログラミングスクールの闇や現実は理解しておく
キャリアコンサルタントだからといってエンジニア業界に精通しているとは限りません。
また派遣社員としてプログラマーやエンジニア転職を実現しても、派遣先で経験できる業務がご自身の今後のキャリアに生かせるかどうかはわかりません。
また多くのプログラマー、エンジニアが現在の派遣先ではキャリアを身につけられないことに悩んでいるという現実もあります。
プログラマーやエンジニアとしてコンピューターの知識を身につけたにも関わらず、転職先がコールセンターや売り場の説明係というケースも散見されます。
エンジニア業界や転職後のキャリアパスを描けるキャリアコンサルタント、そしてキャリア実現の本当のスタートラインを用意できるプログラミングスクールを選ぶことが肝要です。
転職・キャリアチェンジがスムーズな世の中に
起業や副業、独立などに注目が集まっても、社会を支えているのは会社員や派遣社員など雇用されて働く人々です。
終身雇用の現実だけが崩れ、不安定雇用だけが残った社会は安心して生きている環境とは言えないのではないでしょうか。
転職やリスキリングがもっと当たり前になる、もっと前向きに人生を歩める世の中に繋がることを期待します。
近く発表されるという事業が世の中をもっとよくすることに繋がるといいなあと思いながら、今後も続報はスキルサプリ内でお伝えできればと考えております。
また個人には厚生労働省の教育訓練給付金もありますし、良質で実績のあるプログラミングスクールもあります。
スキルサプリは今後も、新たにスキルを身につけたい方、プログラミング未経験だけどがんばりたい方を応援します。